症状・治療について
クエスチョンカード
[2021.12.01] 基礎前期産業医研修会参加④new


8月1日(日)、令和3年度第2回基礎・前期産業医研修会午後の部へ参加しました。


マツダ(株)安全健康防災推進部産業医の山下潤先生による「作業管理」の2時間の講義では、現場でよくみられる腰痛症、手根管症候群(正中神経麻痺)、ばね指、デュケルバン病、腓骨神経麻痺について、実際の作業の動画を見ながら対策を教えて頂きました。

すでに講義のあった作業環境管理、健康管理とともに労働衛生の3管理の一つで、作業方法や作業のやり方の適切な管理を行うことも重要です。作業管理の3ステップとして、

①OWAS(Ovako式作業姿勢分析システム)により付加評価を行うなどの作業の現状を分析し、
②発生源対策、設備対策、作業改善、人的対策を検討して作業手順を確立し、
③教育訓練を徹底し守らせます。

労災認定で最も多い(57.8%)のが災害性腰痛で、重量物取扱い作業では人力の実では55㎏以下、体重の40%以下にすること、55㎏以上の重量物は2人以上で行わせること、はい付けまたははいくずし作業では肩より上で取り扱わないこと、身体を重量物に近づけ、重心を低くして背筋、腰部の筋肉、腹圧を加えて膝を伸ばすことによって立ち上がること、腰部のひねりを少なくし体ごと向きをかえることなどを指導します。またばね指、デュケルバン症候群、手根管症候群、テニス肘(上腕骨概則上顆炎)などの上肢障害、肋骨骨折、腓骨神経麻痺なども注目されており、作業現場の動画を見ながら対策を検討しました。


引き続き鎗田労働衛生コンサルタント事務所長の鎗田圭一郎先生による「産業医活動の実際」の2時間の講義では、じん肺、騒音性難聴、結核の集団感染などの対策を教えて頂きました。

「飲める特別有機溶剤(アルコール)と吸える特定化学物質(タバコ)にご注意を!」と従業員へ伝え、飲酒を控え禁煙するなどの生活習慣指導も行います。休業と復職を3回以上繰り返した事例を検討したところ、特徴としてほとんどの事例で朝の倦怠感と1年以内の再休業が認められ、最終的に双極性障害と診断される事例が多かったとのことで、その他、ディスチミアタイプ、自己愛性人格障害などのパーソナリティ障害や、アルコール依存症、自閉症スペクトラム障害などの精神疾患をベースにした適応障害の症例も紹介され、メンタルヘルスの重要性を実感しました。

明日からも最新の知見を当院通院患者さまへお伝えしていきたいと思います。
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[2021.10.01] 基礎前期産業医研修会参加③new


8月1日(日)、令和3年度第2回基礎・前期産業医研修会午前の部へ参加しました。

マツダ(株)安全健康防災推進部産業医の山下潤先生による「健康管理」の2時間の講義を拝聴しました。労働安全衛生法に規定されている産業医が行う健康管理の職務として、

①健康診断が挙げられます。一般健康診断には、必須の雇い入れ時健康診断、定期健康診断、高熱・低温・放射能や深夜業(10PM-5AM)などの特定業務従事者の健康診断、海外に6か月以上赴任する労働者の出国時・入国時に行う海外派遣労働者健康診断、休職従業員の検便などがあります。特殊健康診断にはじん肺健康診断、高気圧業務健康診断、電離放射線健康診断、鉛健康診断、本アルキル鉛健康診断、有機溶剤等健康診断、特定化学物質健康診断、石綿健康診断が法律で規定されており、令和3年4月より溶接ヒューム等が特定化学物質に追加されたり、最近では介護作業における腰部に著しい負担がかかる作業も行政指導で施行されるようになりました。

②職場復帰への産業医の関与として、健康情報の把握、職場環境等の把握、労働者との面接、人事部署などへの助言があります。

③過重労働対策として中小企業にも令和2年4月より働き方改革関連法案が施行され、残業時間の上限は原則として月45時間・年360時間、年次有給休暇も毎年5日取得が必要、非正規雇用労働者の基本給や賞与など不合理な待遇差が禁止となり、産業医による面接指導、事業者への意見書、労働者への生活・保健・受診指導などの事後措置も必須となりました。

④メンタルヘルスケアでは復帰支援において、1休職前中・2主治医の復職許可・3復職可否の判断復職支援プランの作成・4最終的な職場復帰の決定・5復職後の5つのステップがあります。復職可否の判断では、主治医の診断書をそのまま受け入れるのではなく、産業保健スタッフ、事業場内メンタルヘルス推進者が核となり、地域産業保健センター、上司、人事、主治医と連携を図りながら検討していき、病状回復=就労能力の回復ではないことがポイントです。職場復帰支援プランの作成では、模擬出金、通勤訓練、試し出勤などの制度を利用したり、障害者職業センターによる復職支援事業であるリワーク支援を利用することにより、生活リズムの構築、集中力の向上、ストレス対処スキルの習得、振り返り・目標設定、会社との調整などが行えます。最終的な職場復帰の決定は産業医の意見や就業規則などか事業者によっておこなわれます。復帰後は業務不可の調整、相談相手の確保、通院、内服が続けられるよう配慮、情報交換などで再発防止を行っていきます。


引き続き山下潤先生による「健康保持増進」の1時間の講義では、昭和54年に制定されたSHP(Silver Health Plan;中高年労働者の健康づくり運動)、昭和63年に制定されたTHP(Total Health Promotion Plan;すべての年齢の労働者を対象とした心と体の健康づくり)、平成14年に制定された健康増進法などの説明でした。

事業者は積極的に健康保持増進を推進する旨を表明し、目標の設定、体制の整備を行い、労働者に対する健康測定、運動指導、メンタルヘルスケア、栄養指導、保健指導などを行い、人材の確保、施設及び設備の整備、評価及び計画の見直しをしていきます。平成30年の健康増進法の一部を改正する法律では、労働者の健康障害防止という観点から受動喫煙対策に取り組むことが事業者の義務であり、労働者も事業者の指示に従うことが明記され、望まない受動喫煙をなくし、子供、患者などに特に配慮したり、施設の類型・場所ごとに対策を実施することとされました。また喫煙室はコロナ感染のハイリスク環境であり、一度に利用できる人数を制限したり、喫煙室を閉鎖することが望ましいとのことでした。

明日からも最新の知見を当院通院患者さまへお伝えしていきたいと思います。

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[2021.09.01] 基礎前期産業医研修会参加②new


7月11日(日)、令和3年度第1回基礎・前期産業医研修会午後の部へ参加しました。

三菱ケミカル株式会社人事部全社統括産業医の真鍋憲幸先生による「作業環境管理」の2時間の講義を拝聴しました。事業者は作業環境中の有害要因を工学的な対策によって除去し良好な作業環境を得るため、作業環境の測定を行い記録し必要な指導、指示を行わなければいけません。

有害要因には物理的、科学的、生物的な要因など様々ありますが、このセッションでは労働安全衛生法で規定されている原材料、ガス、蒸気、粉じん、酸素欠乏空気、病原体、放射線、高温、低温、超音波、騒音、振動、異常気圧、廃棄、廃液、残債物に絞って説明して頂きました。まずは厚生労働大臣が定めた基準値をもとに作業環境測定を行いますが、測定計画、すなわち

①デザインとしては、できるだけ不利になるよう、最も作業環境が悪い時間帯を選ぶことが重要で、空間的、時間的な変動の平均的な状態を測定するA測定、濃度が最も高くなると考えられる場所と時間で測定するB測定が基本です。

②サンプリングとしてはろ過補集法、液体捕集法、個体補修法、直接捕集法があり、デジタル粉じん計、ガス検知器など簡易測定機器を使用することもあります。分析も含めて第1種作業環境測定士に依頼したり、簡易測定機器しか使用できない第2種作業環境測定士に依頼することもできます。

③分析は作業環境測定基準、作業環境測定ガイドブックを用い、重量分析方法、原子吸光分析方法、ガスクロマトグラフ分析方法、吸光度分析方法などがあります。暴露限界には日本産業衛生学会の勧告値である許容濃度、ACGIH(アメリカ産業衛生専門家会議)の勧告値であるTLV、厚労省が定めた管理濃度があり、単位作業場所の95%以上の場所で期中有害物質の濃度の平均が管理濃度を超えない第一管理区分、作業環境管理の改善の余地があると判断される第2管理区分、濃度の平均が管理濃度を超える第3管理区分に評価されます。万が一漏洩事故が発生したら、鎮圧、拡大防止、シャットダウンなど即時事故対応を取ると共に、地域消防、警察へ指揮権移譲するなどの対応が必要とのことです。

引き続き真鍋憲幸先生による「有害業務管理」の2時間の講義では、上記の有害物質以外にも、

物理的要因として、紫外線、赤外線、レーザー光線、電磁場、電離放射線、高気圧(低気圧)、暑熱、高温物体、寒冷、騒音、低周波、超音波、振動などがあり、熱中症対策も最近のトピックスだそうです。

作業的要因として重量物取扱、腰部負担、振動工具取扱、引き金月工具取扱、VDT作業などがあり、トピックスとして介護施設、デイケアでの腰痛防止対策、VDT対策があります。

化学的要因として、化学物質、酸素欠乏空気、タバコなどがあり、受動喫煙防止対策が重要です。

生物的要因として、細菌、ウイルス、昆虫、獣毛、穀物粉、花粉などがあり、なんといっても新型コロナ感染症対策がトピックスです。

心理・社会的要因として、長時間労働、過重労働、ハラスメント、ワーク・エンゲージメントなどがあり、メンタルチェック義務化が始まりましたが、最近非常に増加していますので、別のセッションで扱うとのことでした。

①有害物・有害業務の除去・代替として暴露をできるだけ小さくすることが必要で、事業者が特定の化学物質を含んだ製品を他の事業者に出荷する際にSDS(Safety Data sheet;安全データシート)を添付しなければならず、安全衛生情報を記載し、事故や中毒に対応できるようにします。また国際連合が中心となって開発したGHS(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)により、世界的に統一されたルールに従って、化学品を危険有害性の種類と程度により分類し、一目でわかるようラベルで表示したり提供したりするようになり、ピクトグラムなどが用いられます。

②工学的対策では全体換気、局所換気などがあり、フランジ効果、プッシュプル型局所排気装置などが用いられます。

③管理的対策として従業員の健康診断を行ったり、危険・有害性について教育したり注意喚起を表示、作業場の4S(整理・整頓・清掃・清潔)の徹底などがあり、従業員一人一人のスキルが大切な砦、最後の砦です。

④個人用保護具の使用では呼吸用保護具の種類(吸気式とろ過式)や性能(粒子捕集効率を12種類に分類)から適切なものを選択する際、産業医だけでなく専門家の意見も聞いて皆で相談することが重要だそうです。 検定合格品を使用し、定性的フィットテスト、定量的フィットテストを行い、着用指導を日頃から実施しておくことが必要です。

盛り沢山な内容ですが、明日からも最新の知見を当院通院患者さまへお伝えしていきたいと思います。

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[2021.08.01] 基礎前期産業医研修会参加①new


7月11日(日)令和3年度第1回基礎・前期産業医研修会午前の部へ参加しました。日本医師会が認定する産業医になるには講習会を受けたり実地で経験を積むなどして50単位取得しなければなりませんが、この度の研修会で7単位を取得しました。まだまだ長い道のりですが、気長に勉強していこうと思います。

当院といつも連携してくださっている三菱ケミカル株式会社人事部全社統括産業医の真鍋憲幸先生による「総論」の2時間の講義では、産業医を引き受ける会社の大きさや仕組みをまず把握したり、「川上(基礎商品)」「川中(中間原料)」「川下(最終製品)」「4組3交代(24時間営業)」「3組3交代(週末休み)」「ライン(管理監督者)」などの業界用語やその業界の今後の流れも勉強しておくことが会社とのコミュニケーションでは重要であるとのことでした。労働契約と健康管理の在り方では、会社には従業員の安全や健康を確保するなど安全配慮義務がありますが、従業員にも会社の求めに応じて必要な労務が提供できるよう、業務遂行に必要な健康状態を保つよう努める責務、すなわち自己保健義務があり、産業医は従業員の自律を支援するというスタンスで最近若い世代にも増えてきている肥満、高血圧、糖尿病、肝障害などに対し治療を受けるよう促したり、禁煙、飲酒を控えるなど生活習慣の改善については20代の若い世代から教育していくことも重要だそうです。全年齢層で運動習慣も少なく睡眠不足とのデータも示され、当院でも引き続き生活習慣の改善を指導していこうと思いました。

鎗田労働衛生コンサルタント所長の鎗田圭一郎先生による「メンタルヘルス対策」の1時間の講義では、脳・心臓疾患による労災の請求件数、支給件数ともに年々減少しているのに反して、うつ病や適応障害などの精神障害による労災請求、支給件数は年々増加しており、出来事別のデータでは、2019年にパワハラ防止法が施行されたこともあり、上司からのパワーハラスメントや同僚からの暴行、いじめ、嫌がらせが上位を占めています。平成27年に労働安全衛生法が改正され、心理的な負担の程度を把握するためのストレスチェックが開始されましたが、受けたくなければ受けなくても構わないし、診断結果も本人の同意がなければ事業主は知ることができません。57項目からなる職業性ストレス簡易調査票のうち12項目を抽出して仕事のコントロールと仕事の量的負担、同僚の支援と上司の支援でグラフ化すると、高ストレス群を容易に発見することができ、全国平均と比較することによってその会社のメンタルヘルスの状態も把握できるとのことです。上司へ気軽に相談できる仕組み作りが大切であり、復職に際してはリハビリ出勤制度の確立やリワークの活用なども重要とのことでした。

明日からも最新の知見を当院通院患者さまへお伝えしていきたいと思います。

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